ティミッドカワーズ
コンプリート・レア・トラックス
ティミッドカワーズファン待望のレアトラック集がついにリリースされた。今までアルバムに納められていなかったテイクやスタジオでのセッションも含まれているため、解散後のティミッドカワーズを振り返る貴重な資料としての役割も高い一枚となるであろう。解散して10年あまりが経過するが、いまだに彼らのファンは増えつづけ、カワーズを聴いて育った若いミュージシャンが続々と登場している現在、このアルバムの持つ意味はとても大きいと思う。以下にアルバムに納められている曲を解説していく。
1.アイ・シュド・ハヴ・セッド・チキン!(PORTER/REDMOND)
デビューアルバム「ピクルス抜きで」に納められていたこの軽快なナンバーでアルバムは幕を開ける。サビの部分でベースのバリーがコーラスに参加しているところが正式なテイクとは違う。演奏終了後に「下のパートでハモったつもりなんだけどとか言いわけしてるんじゃねえよ!」というプロデューサの罵倒がそのままおさめられている。
2.君がほしいと思うもの全てが僕が今からそうしようとするすべて(PORTER/REDMOND)
カワーズのご機嫌なアップテンポのチューン。しかしこのテイクでは後半のホーンが入っていない。ところでファンの間では周知の事実だが、あのナーバス・ファット・ブラザーズがこの歌のアンサーソングとして「テル・ミー・トゥワイス」というナンバーをリリースしている。この「君がほしい・・・」の中でアランが「いったい僕らの自由はどこに行ってしまったんだろう?」と問いかけたのに対して「今朝食べちゃったでしょ、おじいちゃん」とファット・ブラザーズが答えている。
3.恋するアンラッキーガイ(PORTER/REDMOND)
ほとんど正式なリリースと同じテイクだが、曲が終わった後にジェフが「スタジオのドアを開けて」とプロデューサーに懇願している声が入っている。当時は一曲完全に録音できるまで昼食抜きだったというエピソードはおそらくこのテイクから判明したもの。アランが「また漏らしちゃうかもしれない」と言っているのでトイレにも行けなかったのだろう。
4.フリーって言ってもノミの方のフリーだから(PORTER/REDMOND)
初期の別テイクなのだが、これを聴くと当初はミドルテンポの曲だったことがわかる。ちなみにこの曲に出てくる「マーリーン」という主人公の女性の名前はアランの隣人の女性が飼っていた犬に種付けをしたペットショップの主人がよく行くパブの向かいにあるアパートに出入りしているクリーニング業者の下請けのマネージャの愛人からとったもの。
5.ビー・アフレイド(PORTER/REDMOND)
曲が始まる前のセッション部分から納められている珍しい音源。メンバーが適当にブルースをジャムっていると突然ジェフが「アラン、マーズ(下積み時代に出演していたクラブの名前)時代のあのナンバーを演ろうじゃないか。」と言う。するとアランが「オーケー、ジェフ。・・・♪ひとつでたホイのヨサホイのホイ♪・・」と歌い出してメンバーの演奏が始まっていくところが感動を誘う。懐かしい昔を思い出して演奏のグルーブが高まっていく様子がうかがえるファン垂涎の音源。
(いつか続く)
「ピク抜き」にある「メキシコでタコスを食って三日三晩ピーピーだった」は僕のお気に入りサウンドで今でも携帯の着信音にしているほどです。もう解散して10年経ちますが、基本的に彼らの衣装は裾がいつも寸足らずでしたよね。
<br />
お便りありがとうございます。「メキタコピーピー」は今の若い人達はほとんどカバーの方しか知らないんじゃないでしょうか、やっぱりドラマの主題歌になると認知度があがりますよね。僕、学生服を寸足らずにして教員室で殴られた過去があります。(笑)